実行委員会企画シンポジウム 3月17日 13:00-15:00 1310教室

「する」スポーツ再考:「語って」ばかりのスポーツ研究から脱するために

スポーツ社会学者のひとつのパラドクスは、スポーツ社会学者自身が、実はスポーツを日常的にはおこなわない点にある(と仮定してみたい)。大いにスポーツを語りはする。だが全然おこなわない。スポーツ社会「学者」になっていくなかで、スポーツについて語ったり論じたりすることはあっても、汗を流してスポーツを実践する機会は少なくなっていくのだ。いや、自分はスポーツをしているという者もいるだろう。でも往々にしてそれらは、体育実技の授業だったり、部活やサークルの顧問であったり、要はあてがわれた役割のなかで業務として関わっているに過ぎない。スポーツ社会学者はみずから進んでスポーツはしない。このテーゼについて、本シンポジウムでは考えてみたい。

 こうしたスポーツ社会学者の隠された態度は、実は研究の志向性とも関連している。過去10年ほどのスポーツ社会学会のシンポジウムのテーマをみても、「みる」スポーツ(五輪やワールドカップなど)が取り上げられることがあっても、「する」スポーツについて注目されることはほとんどなかった。スポーツ社会学者は、「みる」スポーツについて「語って」ばかりなわけである。

 こうした状況に一矢報いるために、本セッションでは、「する」スポーツを再考したい。登壇いただくのは、日常的にスポーツを実践しているスポーツ研究者の方々である。「する」スポーツの現場を見てみると、スマホアプリを使ったテクノロジーの利用をはじめ、さまざまな今日的変化が生まれている。こうした“21世紀の「する」スポーツ論”の可能性を考えるのが、本セッションのねらいである。

 登壇者及び発表タイトル

堀田 文郎(立教大学大学院) 鍛える身体と考える身体 —— ボディビルダーとしての身体的経験から
田巻 以津香(東海大学) ゆらぐ身体が紡ぐ場 —— ダンス教室の実践から
山本 敦久(成城大学) 誰(何)がスポーツをするのか? —— 機械と身体のイントラアクション(intra-action)

 

司 会

 石岡丈昇(日本大学)