学生企画シンポジウム
3月15日(土) 9:00-11:00 5020教室
リフレクシヴ・スポーツ論
ーいかにして現場を捉え、社会に還元し、展望を描くのかー
本企画の企図は、スポーツ社会学を現場(スポーツ界あるいは一般社会)と理論(学術界)を往還する実践的な学問領域と見做したうえで、その往還の糸口を探索的に議論することにある。
かつてPierre BourdieuがÉmile Durkheimを引き合いに出して指摘したように、社会についての科学には特有の障害(obstacles)が付きまとう。そのひとつは、大学・知識人(学術)界の内部で行われる科学的分析の文脈などを無視して、[世話人補足:今日ではSNSを通して]誰しもがその分析に対する評価を下し、議論へと介入しうるというものである。しかし裏を返せば、その特性を有する社会学には、学術界の外部へと積極的に働きかけ、社会的主題に関する議論やアクションを協同的に遂行する道も同時に開かれているといえよう。
本企画では、こうした特性を踏まえながら、①スポーツ社会学者が直面している現状を「内省」する機会をつくり、かつ②現代社会におけるスポーツ社会学者の「ポジション」を探索したい。
そのために、本企画では田中東子氏(東京大学)をお招きし、多角的な角度から議論を展開する予定である。氏は、東京大学Beyond AI研究推進機構(2020年7月発足)に設置されたB‘AI Global ForumおよびMeDi(メディア表現とダイバーシティを抜本的に検討する会)の構成員でもある。また、東京大学とソニーの連携による越境的未来共創社会連携講座(通称:Creative Futurists Initiative)の担当教員として、人文知やアート、デザインや工学を通じた新しい社会の設計に向けた教育活動を行っている。これらの活動を通して、氏は学術界の内部と外部を往還し、論文・書籍、TV出演など多様な媒体を活用して学術界における科学的分析を積極的に外部へと発信してきた。
本企画は二部構成で進行する。第一部(トークセッション形式)では、田中氏にくわえ3名の世話人が登壇する。3名の世話人が個別のテーマを設定し、これまで氏が試みられてきた諸活動や氏の見解について対談を通して確認するとともに、スポーツ社会学を学ぶ学生という立場から「内省」の機会を得る。そこで扱うテーマ(予定)は、①現場への参与にまつわる諸問題(髙田)、②学術界と一般社会の往還に関する現代的な障壁(堀田)、③大学・知識人界における科学的分析(村下)である。つづく第二部(シンポジウム形式)では、フロアとの質疑応答を行う予定である。第二部では先の論点を踏まえながらも、それらに拘束されることなく、非常に広範かつ活発な議論を促進したいと考えている。
● 基調報告者:
田中 東子 氏(東京大学大学院 情報学環・学生情報学府 教授)
● 登壇者(話題提供者):
髙田 侑子(学生フォーラム世話人:順天堂大学大学院)
堀田 文郎(同上:立教大学大学院)
村下 慣一(同上:立命館大学大学院)