国際交流委員会企画シンポジウム
日 時:2023年3月17日(金) 10時35分~12時05分
会 場:2133教室
大会参加者へのシンポジウム動画期間限定公開について
学会参加者は、このシンポジウムの記録動画を期間限定で視聴していただくことができます。視聴期限は3月21日(火)〜31日(金)です。期限内はいつでも視聴可能です。 視聴用のパスワードは大会実行委員会から参加者にメールでお知らせがあります。
暴力をめぐる社会的想像力とナイトクラブにおける闘争の現実
名目的には同じスポーツであっても、国家や社会に応じてスポーツ実践のありようが異なるという現象はわれわれの興味を惹きつけてやまない。本シンポジウムでは、こうした地域的相違がもっとも顕著なスポーツのひとつとして格闘スポーツ(格闘技・武道を含む)に着目する。
格闘スポーツで求められる能力は、日常生活では用いられない特殊な道具―ボール・ラケット・バット等―を操る能力ではなく、身体を相手の意に反して操る能力である。われわれは日常生活の全般にわたって身体として存在しているから、格闘スポーツの能力は、原理的には、日常的にも発揮されうることになる。この可能性ゆえに、格闘スポーツは暴力に対する恐怖をかき立てるのであるが、他方で、この恐怖は社会的に媒介されてもいる。映画や漫画など数多くのメディア作品が、商業主義・ナショナリズム・オリエンタリズムなどと絡み合いつつ、格闘スポーツと暴力をめぐるわれわれの想像力を日々養っているのである。
基調講演者として、フランスからヨナタン・ブレッソン(Jonathan Bresson)氏を招聘する。フランスのナイトクラブにおける警備員としての参与観察と、ベトナム武術の修行者としての経験にもとづき、2018年に博士論文「闘争:にらみ合いからぶつかり合いへ―ナイトクラブ警備員としての参与観察より」をレンヌ第二大学に提出した、若手のスポーツ社会学者である。警備員が直面する暴力の実態をゴフマン的な視点から分析したうえで、フランス社会に共有された暴力をめぐるファンタジーと現実の乖離についてお話しいただく予定である。
コメンテーターとして、フィリピンのボクシングジムの参与観察を行ってきた石岡丈昇氏にご登壇いただく。トレーニングのみならずボクサー達の日常生活にも密着した調査の経験にもとづき、暴力をめぐる社会的想像力の地域性や、格闘スポーツの種目に応じた想像力のありようの相違などの視点からコメントいただく予定である。フロアとの活発なやりとりを期待したい。
コーディネイト・通訳:
倉島 哲(関西学院大学)
基調講演:
ヨナタン・ブレッソン(レンヌ第二大学)
コメント:
石岡丈昇(日本大学)