マチズモに頼り続ける社会

武田砂鉄(ライター)

 2021年、『マチズモを削り取れ』と題した本を刊行した。「マチズモ=男性優位主義」について、学術的に分析するのではなく、日常的な場面でどのようにマチズモが機能しているのか、残っているのか、あるいは他者の振る舞いを力づくで制限しているのかを観察・取材した。ジェンダーギャップ指数が先進国の中で最下位を記録し続けているこの国の「体質」としての「マチズモ」を考えた時、繰り返し問う必要にかられたのがスポーツの世界だった。東京オリンピック・パラリンピックをめぐる複数の不祥事や問題発言、スポーツ界に残り続けるハラスメント、スポーツをめぐるメディア報道の類型化などの具体例を並べながら、今、「男性性」をどのように直視し、改善する道があるのかを考えたい。なぜ、最終的にはマチズモにすがってしまうのか、払拭できないのか、スポーツ界の問題点を軸に問い直す。