実行委員会企画

日 時:2023年3月16日(木)16時15分~17時45分
会 場:2133教室

大会参加者への特別講演記録動画期間限定公開について

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これからの地域スポーツと社会

東京2020オリンピック・パラリンピック大会が開催されたが,大会開催を通じて得られた貴重な経験をいかに今後のスポーツ界の発展につなげていくかが,我が国のスポーツの在り方に大きく影響するという認識のもと,第3期スポーツ基本計画を実行に移している.

東京2020大会の経験で,忘れてはならないのが安心安全という観点だといえる.特にスポーツ医・科学の観点では,選手村内のポリクリニックとトレーニング・ジムが一体となった体制は,過去オリ・パラ史上初めての試みであり,医師やPT,トレーナーの連携による,怪我への対策や,現場復帰までのサポートをシームレスに行うことができたことは国際的な評価は大変高かった.また,気候変動の影響による夏の猛暑に対して,運動時の暑熱対策も選手の健康を維持するために重要な役目を担った.各競技団体と連携し,適切なタイミングでのクーリングや,選手の体調を優先した柔軟なルールの運用,それに伴ったイベント・スケジュールも実行された.関係者が連携して成し得たこれらの知見は,安心安全に子供から大人まで,あらゆる立場でスポーツを楽しむことのできる各地域に根ざした環境づくりを,国の施策としてしっかりと前進させてゆくことが重要だと考える.

スポーツ庁では,スポーツ健康街づくりにも力を入れているが,スポーツ医・科学を軸に,これらの知見を活かし,その効果が国民レベルに落とし込まれるよう,町単位での取り組みが重要となってくる.例えば,個々にカスタマイズされた運動療法の介入等,具体的な取り組みを計画的・且つ継続的に行うことで,筋骨格系(運動器)の機能の維持・改善,更には痛みの改善につながれば,心と身体の健康増進に寄与することができ,スポーツを長きに渡り楽しむことができる.国民の生きる力を増幅させ,豊かな人生を歩んでいただくことに繋がると確信している.

 

司会:
大勝志津穂(愛知東邦大学)

発表者:
室伏広治(スポーツ庁長官)