国際交流委員会企画シンポジウム

「フィギュレーション社会学とスポーツ社会学研究の足跡をふりかえる」

テーマ概要:
 

 エリック・ダニングがケネス・シェドと共著でBarbarians, Gentlemen and Playersを出版したのが1979年,1983年には『ラグビーとイギリス人-ラグビーフットボール発展の社会学的研究』として訳書が発行された。スポーツ社会学における歴史社会学的アプローチの有効性が再認識されるとともに,フィギュレーション社会学が日本のスポーツ社会学研究においても影響力を持つ端緒となった。

 フィギュレーション社会学がスポーツ社会学研究の深化に寄与したプロセスと1991年に設立された本学会の発展の足跡は,時代的にシンクロするのみならず,研究交流を通じて日本のスポーツ社会学研究の新たなパラダイムが出現したプロセスでもあった。フィギュレーション社会学のスポーツ社会学研究発展への貢献について世界を代表する研究者と共に振り返るとともに,スポーツの高度化に伴う極限点(暴力,許容範囲を超えた怪我・傷害,ドーピング)を経験している現状を考察するに際しても有効なアプローチであることを考える機会を持つ。

 

パネリスト:

ドミニク・マルコム(ラフバラ大学:ノルベルト・エリアス財団フェロー)
トニー・ファン(黄東治)(台湾国立体育大学、台湾スポーツ社会学会前会長、
  IRSS編集委員、EAST編集委員他)
ケビン・ヤング(カルガリー大学、元ISSA副会長)
大平章(早稲田大学名誉教授)

司会: 海老島均(成城大学) (敬称略)

 

パネリストの紹介:
 長年スポーツ社会学研究の第一人者であったエリック・ダニング氏は残念ながら2019年2月に逝去された。レスター大学でダニング氏と長年共に研究活動を行い,現在はラフバラ大学で教鞭を執るマルコム氏は,フィギュレーション社会学派のスポーツ社会学研究の中心的人物であり,国際学会でスポーツの高度化に付随する様々な問題について興味深い発表を行っている。
 ファン氏はISSA理事や台湾スポーツ社会学会会長を歴任し,現在もIRSSや幾多の学会誌の編集委員を勤める。ファン氏はフィギュレーション社会学を用い日本の占領下における台湾での野球の発展に関する論文等著書も多数で,台湾のスポーツ社会学会の発展を担ってきた人物である。
 ヤング氏はNASSSやISSAでフィギュレーション社会学を用いて数多くの論文を発表し,著作も数多い。ISSAの副会長も経験したヤング氏が研究の中心テーマとして扱ってきたのがスポーツと暴力の問題であり,この研究手法の有効性が凝縮されている。
 大平章氏はエリック・ダニングの2本の主要著作(『スポーツと文明化』『問題としてのスポーツ』)を翻訳し,ダニング氏の業績に関して造詣が深い。大平氏はスポーツと文明化の研究におけるダニング氏の功績と日本のスポーツ社会学への影響に関して著作にまとめている。